Twitterで参加した感想を呟いていらっしゃったGalbraithianさん。記事化の相談にご快諾いただけまして(ありがとうございます!)、「参加レポート」としてお届けいたします。正門を設計された後藤慶二さんのお孫さんも参加されていたそうです。
また、賛成・反対の論点を整理した情報もいただき、本記事にまとめます。あなたの感想・意見、「区に送る時間はない」という方も、ぜひコメント欄でお寄せください!
という中野区民の皆さんも、きっと勉強になります!
そもそも旧中野刑務所正門とは
沼袋駅から10分程歩いたところにある中野区立平和の森公園の一角に残るレンガ造りの小さな建物。 かつてここにあった中野刑務所は昭和58年に閉鎖され、 正門だけが残されています。
大正期の建築家・後藤慶二氏が設計し、大正4年に建てられた「レンガ造建築の最高峰」ともいわれる大正モダンな煉瓦造の姿が、今なお良好な状態で残っているのです。
その正門の存続が危ぶまれている、平和の森小学校の移転問題。
「残す」「残さない」賛成と反対の論点。平和の森小学校と旧中野刑務所正門は共存できないのか?
正門がない場合を「100」点とすると
100点 ー 正門があるデメリット「■■■」点 + 歴史・文化・教育・観光的価値「■■■」点
= 「■■■」点
この得点が「100」点より低いのか高いのか。
「正門を残す」賛成の論点
①文化財としての価値(建築史有識者の高評価)
②歴史的価値(上の世代から下の世代への伝承)
③教育的価値(地域活動の活性化、地域アイデンティティの醸成)
④観光的価値(まちあるき、れんが造の建物、特徴ある学校、イベントでの集客)
「正門を残さない」反対の論点
①新校舎建設をさらに遅らせてしまう
②門があると校庭や教室が狭くなる
③門は老朽化で危険
④防犯・防災への余分な対応が必要
⑤採光の問題
⑥交通安全の問題(トラックの出入りなど)
⑦小学校に合わない暗いイメージ →海外等の事例を学び、大学と提携/見せ方の戦略を?
⑧お金がかかる(耐震補強、維持管理) →クラウンドファンディングやふるさと納税、文化財指定後の補助金、価値を高めて広報利用へ?
参加者の想い「もっと賛成・反対の議論の質を上げたい」
・幅広い層の区民に参加してほしい(子供たちの意志も確認したい)
・議論の前に、事前の情報共有を十分にしてほしい
・適切な分析を目指し、誰がどのように分析するか基準を設けてほしい
参加レポート「旧中野刑務所正門」に関する意見交換会(10/14)
(意見交換会にて)
「解体主張」で最も多く聞こえた意見が「現地保存だと平和の森小学校の施設が狭くなる」だった。しかし今回の区の案「現地保存」は、意図的に狭くなるように図面を作った印象も拭えない。
実際、「平和の門を考える会」では現地保存と両立する案を独自に検討/提案している。
今日は「旧中野刑務所正門に関する意見交換会」に参加したのだけれど、先週のようなタウンミーティングだと思っていたら、意見聴取の場で、しかも、酒井区長もいない。区職員の上から目線の進行や、その他(後述)もあって心がザラついた。参加者は3人掛け席×12段×3つで100名程度(補助席は埋まらず)。 pic.twitter.com/6ymml02qP2
— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
【旧中野刑務所正門に関する意見交換会】
はじめに区の方から、正門(平和の門)が財務省の敷地内であるため文化財としての調査ができず(後の質疑で、嘘だと判明)、今回、調査が必要になり学識者の意見聴取を行い日程を調整したと説明。意匠、技術、歴史的価値、学術的価値等の点から意見を聴取。 pic.twitter.com/cecdIXSTZD— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
【旧中野刑務所正門に関する意見交換会】
学識者の意見は3名とも「現地保存」。それを踏まえて、現地保存で内部公開、現地保存で外から見学、移築、一部保存、記録の5案が示された。ただし、費用の数字については概算で、具体的な見積りではないとのこと。これは駅前再開発の時と同じで、情報不足。 pic.twitter.com/N9fevpDqJF— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
【旧中野刑務所正門に関する意見交換会】
15分程度経過したところで、質疑・意見へ。ここで進行役から、質問は1人1問に限らせていただきます(一巡したら再質問可能)とルール提示。個人的に、こういう類のレギュレーションを設ける主催者は、聞く耳を持たないと思っていい。心がザラついた1点目。— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
【旧中野刑務所正門に関する意見交換会】
現地保存を望む方は、歴史的価値に関する意見や、80年代に住民と区が一体となって法務省を説得して解体を撤回させた点などを主張。しかし、区の保存活動の文書の存在を質問されると、「調査していない」「保存年限の関係で廃棄の可能性がある」と逃げた。— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
【旧中野刑務所正門に関する意見交換会】
また、同刑務所を設計した後藤慶二のお孫さんが兄弟で参加。弟さん、この施設を「負の遺産」と言うけど、それは昭和(戦中、治安維持法が猛威を振るったとき)の話。明治時代からみると、それまでの牢獄に変わる人権に配慮した建物として後藤慶二が設計した。— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
【旧中野刑務所正門に関する意見交換会】
お兄さんの方。いつまでに何をどうすれば「残す」決定になるのか、時系列で説明してほしい。区の回答。来年1月に小学校基本計画を策定する、区としては、それ以前、年内に意思決定する。残す・残さないは、子どもの安全と文化的価値を考慮して判断する。— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
【旧中野刑務所正門に関する意見交換会】
解体主張する方の意見では、見学が可能な施設をつくると、小学校が防犯上弱くなる、というものがあったが、そうすると、区民が利用できる図書館等が入る開放エリアも防犯上リスクになるはずで、主張に矛盾を感じた。区は「特段の対策をする」と言って逃げた。— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
【旧中野刑務所正門に関する意見交換会】
また、刑務所の門を、学校施設内に設置するのは好ましくないという意見もあったが、府中第九小学校や都立府中高校なんて、現役刑務所の向かいにあるわけで、それで教育上何か問題起きていますか? という話だと思う。 pic.twitter.com/bzbzTdGdIy— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
【旧中野刑務所正門に関する意見交換会】
解体を主張する中で、最も多かったのが現地保存で学校施設が狭くなるという意見。ただ、今回、区が提示した案は、現地保存で意図的に狭くなるように図面を作った印象がある。事実、平和の門を考える会では現地保存と両立する案を独自に提案している。 pic.twitter.com/4DntAEaGXu— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
【旧中野刑務所正門に関する意見交換会】
現在の平和の森小学校が校庭も狭く、早く新校舎を竣工すべきということは、現地保存を主張する人たちも共有している。そうした中、用地取得を「見込み」のまま沼袋小学校を廃止するなど統廃合を進めた区の責任を問う意見も出た。これに対し区は、(続く)— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
見通しが甘いというのであれば、申し訳ないと述べたすぐ後で、学校の統廃合は、ある程度、生徒数を確保して計画するので、統廃合計画は間違いではなかった、と主張。正直、この主張は理解に苦しむ。
— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
【旧中野刑務所正門に関する意見交換会】
それから、区外から参加した方が発言した際に、なんで区外の奴に発言させるんだとヤジったやつがいた(解体を主張していた)。しかも、10月11日の朝日新聞の記事は間違っているので、区は訂正させるべきとも主張していた。危険人物。https://t.co/gMb9XaszqY— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
【旧中野刑務所正門に関する意見交換会】
これに関しては区側もまともに対応。この意見交換会は、区の方を中心に区外の方の参加も認めています、朝日記事については、取材を受けたが、どう記事を書くかはメディア側の判断になるので、自分たちはコントロールできないと説明。https://t.co/tWCrFG4wBo— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
【旧中野刑務所正門に関する意見交換会】
終了後、今日の意見効果会の内容は区のWebサイトに掲載されるのか、と聞いたら、すぐには掲載できない、Webやメールでの意見も含めて11月上旬には公開できると。でも、区の意志決定が年内なので、11月だと遅いような気がしますが、いかがでしょう、酒井区長?— Galbraithian (@galbraithian999) October 14, 2018
年内には区の意志決定。果たしてどうなるのでしょうか。区長、区職員の皆さま、区議の皆さま、中野区のこと/私たち中野区民のこと、どうぞよろしくお願いいたします。
区民からも「対話の中野」を進めてまいりましょう!
明日10/22(月)19時からは「旧中野刑務所正門」を巡るタウンミーティング(新井区民活動センター)。「メールやFAXでも10/26まで意見募集中」とのことです!
SNSでの意見を一部紹介
どんな意見も歓迎(中立の場)を守るため、解体派の投稿を探しましたが見つからず……もしあれば教えてください!
後藤慶二代表作は豊多摩刑務所(1915竣工)本体解体後、正門だけが現存。ライトの帝国ホテルの十年近く前にライトをも嫉妬させる建築が実現していた確かな証拠である─後藤の実作で残るのはこの正門のみ。現在、建設されるいかなる建築よりもこの門の価値は高く重い。建築を超えた精神のsubstance
— おかざき乾じろ (@kenjirookazaki) October 11, 2018
「旧中野刑務所正門」がもともと1980年代に中野区などの要請で保存されていた経緯を示す報道と門に関する記述のある中野区の資料に加え、建築学会の2度にわたる保存要望、美術評論家連盟の保存要望、関連年表を追加しました https://t.co/yDx2V2ifhE
— 中野区非公式勝手にお知らせしています (@nakanocitizens) October 19, 2018
この正門から多くの思想犯が入獄した。大杉栄、三木清、戸田城聖、小林多喜二、中野重治、埴谷雄高らが治安維持法違反で検挙されこの門を潜った。いわば「狭き門」だ。この豊多摩監獄(刑務所)の取り壊しや移築は絶対にあってはならない。
夭逝した建築家・後藤慶二の精神が細部まで反映されている。 https://t.co/zTPx51dTWV— 東京散歩人 (@wysvoice1917) October 17, 2018
中野刑務所。あの門だけが残り続けることは、後藤慶二は果たして嬉しいことだろうか。ふと、そんなことを考えてもしまったりもする。
— こっちみてる (@eriyori) October 11, 2018
旧中野刑務所(豊多摩監獄)の正門の件、敷地に建設予定の小学校の配置案を見るかぎり、ぜんぜん壊す必要性ないじゃんと思って、いくぶん楽観的な気持ちでいたけれど、どうも中野区としては現実にかなり壊したい意向があるらしい。 https://t.co/wPXDWNiCuv
— 建築と日常[公式] (@richeamateur) October 15, 2018
建築家・後藤慶二の代表作「豊多摩刑務所」正門が取り壊しか。現在、中野区が意見を募集中|美術手帖
https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/18614